
特別授業「放射線ディスカッション」を行いました(Ⅲ類型・CSコース)
本校では、京都大学 放射性同位元素総合センター(RIセンター)の先生方にご協力を頂き、放射線について学び、ディスカッションを行う特別授業を継続しています。ディスカッションを通して、原発の是非といった答えの無い問いに取り組む姿勢を養うとともに、社会が抱える諸問題について自分事とすることを目指します。今年度も、3月17日(月)に京都大学の先生方をお迎えし、3時間にわたる放射線ディスカッションを行いました。ディスカッションの際に意見表明者としてプレゼンテーションを行う有志生徒は、11月に京都大学を訪問し、角山先生・堀江先生による放射線に関する専門的な講義を受けました。その後4か月にわたって、テーマ決め・資料作成・プレゼンテーション練習などを行い、準備を進めました。ディスカッション当日は、プレゼン発表後、3クラスの生徒でフリーディスカッションを行い、様々な意見を出し合いました。ディスカッション後には両先生方から貴重なご講評を頂きました。このディスカッションを通して、『答えのない問題』について考え続ける大切さや必要性、多角的視野を持つことの大切さを学んだと、多くの生徒が感想で述べていました。ご協力いただいた京都大学の角山先生、堀江先生に深く感謝し、御礼申し上げます。
【生徒の感想の抜粋】
●私は今日の特別授業を通してたくさんのことを学びました。発表を聞いて自分の中で無意識に放射線について誤解をしてしまったり、偏見を持ってしまっていることに気づき、これからは正しいかどうか分からない情報を鵜呑みにせず、視野を広げていきたいと思いました。またディスカッションでは人によって全く異なる視点でそれぞれに納得できる興味深い意見が沢山出て面白かったです。どんなこともただ学んで終わるだけではなく、一つ一つに疑問を持ち、考えを深めていくことが大切だということを学ぶことができました。このような貴重な経験ができて良かったです。
●メリット、デメリットを知った上で友達と賛成や反対の立場を意見し合い、自分にはない意見を聞くことができて、楽しかったです。これからは知らないことや疑問を持ったことを積極的に調べるようにしたいと思ったし、そうすることで初めて、原子力発電に関してどのような政策を考えている政治家を支持するのか、といった自分の生活に直結する問題にも、自分の意見を持って関われると思います。また、京都大学の先生が「学者は議論をしなくなったら終わり」とおっしゃっていたのが印象的でした。私も大学で研究したい分野があるので、その時はもちろん、今も、意見を持ったことは恐れずに他の人と議論して、多角的に考えられるように意識していきたいと思いました。京都大学の先生方、貴重な機会を下さりありがとうございました。
- ●今回の放射線ディスカッションを受けてみて原発や放射線の偏見などについて学ぶことができました。原発グループは、原発のメリットやデメリットについてや仕組み、放射線廃棄物、未来の原発だったり、原発以外の持続可能な発電方法について発表されていて、とても興味深かったです。放射線の偏見グループは、福島差別や放射線でのがん治療や食品照射について発表されていて、特にがん治療で放射線治療があまり広く普及していないことが驚きでした。私はこのディスカッションを通して、正しい情報なのかどうかしっかりと見極めて、放射線に限らずもっと自分の知識を深めていきたいと思いました。
●放射線は自分にほとんど関係なく、これから事故が起こらなければ大丈夫なのではないかと思いがちですが、この話題は身近なもので、一人ひとりが自分事として考えることが大切だと知りました。原子力発電所はエネルギー自給率の低い日本には非常に重要なものですが、危険性が高いというデメリットもあるので、議論が難航しているのだと知りました。また、福島差別を身近に感じたことはありませんでしたが、現在でも残る、解決すべき課題だと感じました。これについては、認知度の低さと、身近に差別を感じないことが問題だと思います。現状を隠して風化を待つのではなく、全員が知って対策を考えることが、根本の解決と再発の防止に繋がるのだと思います。京都大学の先生方がおっしゃっていたように、身近なことでも疑問を持たなければ何事も始まりません。日常を見つめ直し、より良くしようと他人と議論していくことをこれからも大切にしていきたいと思いました。