令和2年度 高等学校入学式を挙行しました

2020年04月08日
高等学校

 

新型コロナウイルスの感染防止のため、3月以来休校措置をとってまいりました。
その間、4月からの学校再開に向けて準備を進めてまいりましたが、残念ながら休校を延長することになりました。
そのような中、細心の注意と対策をして入学式とホームルームを行いました。
学校長の式辞全文を最後に掲載させていただきましたので是非ご覧ください。

 

式場は窓や扉を開放し、前後左右を空けて座ることにより、感染防止に努めました。

 

 

式前後に、各クラス最初のHRを行いました。

 

 

式  辞

新型コロナウィルスの感染が世界的に拡大し、日本国内にも感染者が増え、人々の不安や恐れが高まっている非常事態の中、入学式が実施できるかどうか心配しましたが、来賓・保護者の方・在校生のご協力をいただき、新入生だけの簡略・短縮化という形で、京都女子高等学校・令和二年度入学式を挙行できますことを、教職員を代表して、感謝申し上げます。

ただ今、本校に入学を許可されました341名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を教職員一同心から歓迎します。

さて、新入生の皆さん、京都女子高等学校でのスタートが、この講堂で阿弥陀如来さまに合掌・礼拝することから始まりました。

本校は創始以来、121年の歴史と伝統を誇る学校です。本校は、親鸞聖人の教えにより、心豊かな人間として、社会で活躍・貢献できる女性を育てるという建学の精神に基づき、すべての教育活動を行っています。その建学の精神の理念は、自立、共生、感謝の三つに集約できます。皆さんは、3つの理念を目標にしながら学校生活を送ってください。

1つ目は、自立です。皆さんは自分ひとりで生きているのではありません。さまざまな人や動物や植物、そして水や空気などの自然によって生かされて生きています。自立とは、誰の世話にもならないというのではなく、おかげさまという気持ちで、周りの人やものの立場を大切にしながら、自分自身で考え判断していくという意味です。

2つ目は、共生です。いのちの尊厳と平等にめざめ、思いやりの心で協働して生きることです。わたしと同じようにほかの人も掛け替えのない尊いいのちを持っています。動物や植物にも同じいのちが宿っています。皆さんは、いのちの繋がりの中で、私が生かされて生きていることに目覚めてください。人を批判したり、悪口を言ったりして、人を傷つければ、同じいのちで繋がっている自分をも傷つけることになります。お互いに相手の立場を認め合い、仲よくすることが何より大切なことです。生きているものすべてにいのちがあるというみ仏さまの教えは、自然と共に生きるという環境の問題や、いのちを扱う医学の問題にも繋がっています。

3つ目は、感謝です。日頃私たちは、生かされて生きていることに気づかず、自己中心的に生きています。しかし、そのことが分かれば、自己中心的な生き方に対して、「ごめんなさい」という反省のこころと、私を支え育んでいる大いなるめぐみに対して、「ありがとう」という感謝の気持ちが生まれてきます。その感謝の心が人や社会のために貢献しようとする行動になって表れてきます。恵まれたわたしのいのちを自分の夢や目標の実現のためにだけに使うなら、それはあまりにも空しいものです。人や社会のために力いっぱいつくしてこそ、わたしのいのちは喜び、光り輝きます。親鸞聖人の教えは生きる意味と喜びを教えてくれます。そのことを宗教の時間や礼拝の時間などでしっかりと学んでいってください。

皆さんの真新しい制服には、燦然と輝く金色の校章がついています。その校章は、西本願寺の紋章である下がり藤を一文字の形にデザイン化したものです。藤の花が頭をたれて、薄紫色に咲くその姿は、自分は頭を下げていても、周りの人からは見上げられている謙虚な女性をあらわしています。皆さんは、そんな女性を目標にして高校生活を送ってください。

現代はますます国際化・多様化、そして情報化が進み、また、人工知能・ロボット工学などの科学技術の発展は目覚ましいものがあり、社会経済が大きく変わり、未来が予測できない時代とも言われています。そのような時代に対応できる「生きる力」が皆さんに求められています。そのためには、基礎的な知識や技能を習得し、それらを活用して課題を解決するための思考力、判断力、表現力、そして主体的に多様な価値観を持った人たちと協働して学び続けようとする確かな学力が必要です。

また、本校は学習面だけではなく、生徒会活動やクラブ活動などの自主活動や、学校行事も盛んな学校です。意欲的に取り組み、自分の特技や特性をさらに伸ばしてください。授業も学校行事も自主活動もすべて学びの場という点では同じです。さまざまな学びの場で教育の目的である人格の完成に向かって努力精進してください。
本校は女子校です。多感な思春期の環境の中で、ジェンダー枠という男女の固定観念や役割分担等にとらわれることなく、ありのままの姿で仲間や先生とかかわりあうことを通して、自己を肯定する感情や、誰かの役に立っているという自己有用感が養われますので、自分をさらに成長させるために、何事にも失敗を恐れることなく、果敢にチャレンジしてください。

新型コロナウィルス感染拡大防止のため1か月間休校になりますが、皆さんは感染予防に努め、学校から出された課題をしっかりとこなし、学習に励んでください。

教職員一同、皆さん一人ひとりが楽しく充実した学校生活を送れるように支えていくことを誓い、式辞といたします。

令和2年4月7日

京都女子高等学校 校長 林 信康

 

 

保護者の皆様へ
本日、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、入学式を簡略・短縮化して実施致しました。保護者の皆様にはご理解ご協力ありがとうございました。
本日のお嬢様のご入学をさぞかしお慶びのことと拝察し、心からお祝い申し上げます。成長されたお嬢様の晴れ姿を見られ、感慨もひとしおのことと存じます。高等学校の三年間は、人格形成の基礎となる大切な時であり、また、同時に悩み多い時期でもあります。私たち教職員一同、大切に育ててこられたお嬢様を今日から皆様の期待と信頼に応えられますよう責任をもってお預かり致します。どうぞ本校の教育活動に深いご理解と力強いご支援ご協力をお願い致します。

令和2年4月7日

京都女子高等学校 校長 林 信康