高2沖縄修学旅行講演会に参加しました

2023年09月27日
高等学校

高校2年生1組から9組289名「第1回沖縄修学旅行講演会」に参加

9月 25日(月)「沖縄修学旅行第1回講演会」を学園講堂にて開催

前回の事前学習では沖縄戦に関する映画を鑑賞し、78年前に起こった地上戦がどういうものであったのか、戦争の悲惨さ、平和の大切さをドキュメントを通じて体感するものであった。

そして本日は沖縄より崎原真弓さんと大城綸さんのお2人をお招きして、「琉球王国の歴史、先人の生き様から学ぶ肝心(ちむぐくる)」というテーマで講演を聴いた。

崎原さんはまず三(さん)線(しん)で「花」を披露された。日頃は観光バスに乗務し、沖縄を代表するスーパーガイドとして長年多くの観光客の心をわしづかみにしてきたその声は透き通っていて、「泣きなさい 笑いなさい いつの日か いつの日か 花を咲かそうよ」という歌詞は、ゆったりとしたメロディに乗りながらも、その中に琉球の先人たちの「ちむぐくる」の心があることを教えてくださった。そして恥ずかしがりながらも修学旅行委員さんは壇に上がり、「イーヤーサーサー」の掛け声に合わせて「スイスイ」と手を振って応えた。

 

琉球の歴史を学ぶ

その後大城さんより「日本が鎌倉時代であった頃に始まった琉球王国の歴史」を学んだ。戦争と平和の繰り返しの中で時を重ね、「共存共栄」まさに共に存し、共に栄えるという精神のもと、数え切れない多くの伝統芸能が王朝文化として先人たちが受け継いできたことを知った。これらにはエイサーや三線などのみんなにとってもなじみの深いものも含まれている。そして、その精神こそ「ちむぐくる」の精神であることを学び、みんなは大きくうなずいていた。

このように「小さな島の大きな文化」を育みながら発展してきたが、日本の大きな歴史の渦に巻き込まれ、幕末・明治維新を経て、450年間続いた琉球王国は、沖縄県として日本の中に組み込まれ、今を迎えることになる。この独特の王朝文化は長い歴史を知るからこそ解ることである。

火災の被害に遭いながらも、沖縄県民の復興の願いを込めた首里城もこれらの歴史を知るからこそ深められる感動である。火災がもたらした沖縄の方々の落胆を知り、神聖な思いで観る大いなるきっかけとなった。

「観光」とは「光を観る」と書く。この光は明るい物以上の闇を超えた存在としてみんなは見つめていくことであろう。

「歴史を知る」ことはその「長い間受け継がれてきた精神を学ぶ」こと

「女性は命を生み出す存在」である。沖縄の「祈り=感謝」の文化と相まって、女性は霊的な存在として位置づけをされ、祈りの対象として崇められてきた。本土のそれと異なり、女子高生にとってもたいへん意外でもあり新鮮でもある事実であった。

修学旅行とは単なる三泊四日の旅ではない。講演などを通じて沖縄の方の生の話を聞くことで、深い学びのきっかけとなり、沖縄で実際に「体感」し、「修学」する旅行になることは間違いない。

 

「調和の心」これは「おもてなしの心」

沖縄文化に触れていくことができた。そこには、人類の平和で仲良く助け合っていくことの哲学的意味があることを知った。「調和の心」これこそおもてなしの心であり、東京オリンピックでもテーマであった、まさに日本人が持つ最も美しい心の神髄(肝心(ちむぐくる))である。

「三線は地球」を表し、それ以外の空間を宇宙として 技を鍛えてきた。だから、人が誕生、つまり命がこの世に現れた時に三線を引いて歌い、祝う。そして、人の命が消え、墓に入るとまた三線を引いて歌い、祝う。

大きな戦いを経験して来た沖縄だからこそ、命をこのような存在として受け継いできたのだ。大きな学びであった。

 

空手は平和への思い、沖縄のことばの重みを知る

また崎原さんは空手を演じて披露してくださった。空手は沖縄発祥。漢字では「空の手」と書く。完全防御、つまり武器を持たないことを意味する。結局は平和につながっている。11月に沖縄に行き、沖縄の人に触れ合うことで体感する精神なのかもしれない。

「命(ぬち)どぅ宝」、まさに命こそ宝というもの。78年前の沖縄戦を経て一般の方々、女性も子どもも含めて、20万人以上が亡くなっていったことも、現地に行って墓を見るだけでも、京都とは全く違う形状をしているのを見るだけでも、沖縄の人の思いをたとえ幾分かであっても感じ取ることができる。

現地に伝わる格言を方言で学び、その1つひとつに深い意味があるということを知った今、さらに沖縄で体感し確かめて初めて、本当の学びになるのであろう。

 

本日の講演をきっかけに沖縄に対する深い関心へとつなげる

11月に訪れると晩秋なのに生温かい風を感じる。抜ける青空に映える、京都では見たことがない赤や黄色の鮮やかなハイビスカスなどを見る。これらのことから本当に沖縄に来たということを実感するに違いない。これから修学旅行までの1ヶ月半。平和とは、琉球文化とは、沖縄の自然とは、そういうものを京都にいながらアンテナを立てて1つひとつ準備をして行くことが大切である。

行かないと解らないこと、会話しないと解らないこと、体験しないと解らないこと、今日の日をきっかけに、沖縄に対する深い関心へとつなげていく。

最後に「ゆいまーる」をみんなで歌い踊った。講演当初恥ずかしがっていた生徒たちも「結」の本当の意味を知り、大きな声で歌い踊りながら締めくくった。

みんなの目が沖縄を見つめ光っていた。

 

 

※なお、沖縄で「命どぅ宝 命こそ最高の宝!沖縄戦の歴史を通じて学ぶ命の尊さ、平和の尊さ」というタイトルの平和講演を聴く予定である。さらに思いはつながっていく。