高校2年生(普通科)が「沖縄戦犠牲者数20万を体感するプロジェクト」に取り組みました

2022年10月20日
高等学校

京都女子高校二年生(普通科) 沖縄修学旅行事前研究

沖縄戦犠牲者数20万を体感するプロジェクト

 

「ニライカナイ」

 今春、高校二年生(普通科)では沖縄修学旅行の事前研究の一つとして、このプロジェクトを始動しました。修学旅行委員会から制作パートを立ち上げ、作業には普通科259名の全員が関わりました。

 

私たちが目指したこと 

 私たちは、この「20万」という数字が大変大きなものであることは当然理解していますが、どうしても、「ひとまとまり」にして受け止めてしまいがちです。しかし、この膨大な数字には、到底まとめることのできない、「ひとりひとり」の存在があります。軍人だけでなく、女性や高齢者、そして、沖縄の未来を担うはずだった、学生やこども、赤ちゃんまでもが含まれており、この数字は「20万通りの思いや人生」そのものなのだと考えました。このひとつひとつの命に向き合い、思いを馳せ、その上で「20万」という膨大な数字を実感するために、今回、私たちは1本の綿棒を1人の犠牲となられた方の「墓標」に見立て、1人あたり770本をスタイロフォームに刺しこむことに挑戦しました。

 大量の綿棒を切って、刺しこむ作業はひとつひとつ地道に取り組む他なく、「本当にやりきれるのか」と不安の大きい、途方もない取り組みとなりました。しかし、考えてみると、「平和への道のり」もまた、小さな一歩を積み重ねるしかない、ゴールの見えない、長く、不安なものであると言えるでしょう。私たちは、今回の大変な作業を通して、そのほんの一端でしかありませんが、「戦争が一瞬で奪う命の尊さ」や、「小さな一歩を積み重ねた先にある大きな力」について、身をもって実感できたのではないかと考えています。

 

作品の解説

 画題の「ニライカナイ」とは、昔から沖縄の人々の生活に根ざした、神秘的な伝承であり、沖縄からはるか東の海のかなた、あるいは海の底にあるとされる生命や恩恵の源、かつ、魂の居所であるという伝承の世界です。そのため、「生命力に溢れる生き生きとしたイメージ」と「神秘的で静かなイメージ」の両方を持ち合わせる作品を目指して制作しました。沖縄戦で犠牲となった20万あまりの命が、沖縄の美しい海に、優しく抱かれている様子をイメージしたものでもあります。

 そして作品はブラックライト(紫外線光)を照射することによって、隠された色や形が発光して見える仕組みとなっており、通常の光で見る昼間の世界ではぼんやりとしか見えなかった部分にも魚の群れやたくさんの生命の他、南十字星をはじめとした沖縄でしか見ることの出来ない星々が浮かび上がるようにしました。色彩についても沖縄らしい色使いを意識し、当地の強い日差しに負けない色合いを目指して根気強く、色を重ね、より濃く、深みのある仕上がりを目指して制作してきました。

 作品全体から、「活力・力強さ」を感じて頂けると嬉しく思います。

 

今後の展示 
「2022年京都府私立中学高等学校 私学展」に出品します。

日程:令和4(2022)年11月4日(金) 〜 11月6日(日) 10:00~18:00(但し、最終日は16:00まで)
会場:京都市美術館別館
内容:京都の私立学校に在学する生徒の作品展です。「美術工芸部門」「書道部門」「写真部門」の作品を展示しています。
詳細はhttps://www.kyotoshigaku.gr.jp/event/2022/8309.htmlをご覧ください。